10/28 『分析力を武器にする個人・組織はココが違う』の感想

データ分析の仕事に興味があり、データベースやAIなどを勉強しています。データ分析の入門書である『会社を変える分析の力』を読みました。著者の河本薫氏はータサイエンティスト・オブ・ザ・イヤー」の初代受賞者で、データ分析を使ってビジネスを変えた人物です。印象に残った部分について、下記に纏めます。

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[データ分析手法と事例]
(1)予測型
・販売量予測:過去のトレンド、気温などから販売量を予測
・医療費予測:健診データや過去の診断書からの医療費予測

(2)異常検知型
・機器故障予測分析:故障前の異常状態を検知し、故障を予測
・サイレント故障分析:正常状態の値から逸脱した値の検知
・サーバログ解析:ログを元に異常を検知

(3)最適化型
車両配置最適化;到着時間を主ミレーsっ本市、最適配置を探索
在庫最適化:予想と賞味期限から在庫の最適化を導出
ワークスタイル分析:PCログからアプリの使用状況を解析

(4)自動化型
シフトスケジュール型:労働条件を満たすシフトを自動生成
プラントオペレーション;複雑なプラントの操業計画を自動生成

(5)判断型
顧客ターゲッティング:ターゲット顧客の選定
エリアマーケッティング:ターゲットエリアの選定
webサイトアクセス分析:各サイトにどれだけのアクセスがあるかを分析

(6)発見型
口コミ分析:ブログなどのテキスト情報をマイニング
アクセスログ分析:自社webサイトのブログ解析
コミュニケーション分析:メールログから人のつながりを可視化
商品分析:同時に買う可能性の高い商品群をレコメンド

(7)リスク計算型
倒産リスク計量:格付けと倒産データから倒産リスクを計算
市場リスク計量:モルテカルロシュミレーションを用いた市場リスクを計算

(8)社外データ活用
気象データ活用:販売量、プラント計画、売り上げ予測などに活用
渋滞データ活用:配送ルートの最適化、車両配置最適化などに

分析の価値 = 意思決定への寄与 × 意思決定の重要度

予測モデルは過去データや様々な前提条件から成り立っている。例えば、
ビールの出荷量 = 気温 × a + bというモデルの場合、
・ビールの出荷量は気温だけで決まる。休日、湿度などは関係しない。
しかし、現実世界にビールを飲む人は多数おり、飲む理由は様々。モデルで現実世界を再現はできない。

[データ分析でビジネスを変える3ステップ]
①データ分析でビジネスを変える機会を見つける。(見つける力)
②データ分析で問題を解く。(解く力)
③データ分析によるソリューションを実際のビジネスに使わせる(使わせる力)

①データ分析でビジネスを変える機会を見つける。(見つける力)
ビジネスにおいて、データ分析を活用するチャンスを見つける。どんな問題でも良いわけではなく、問題を解決しても、効果が少ないもの、データを使って課題を解決できる可能性が少ないものでは意味が無い。見つける力にはヒラメク力が必要。

・アマゾンの例
ユーザーの購入履歴や閲覧履歴を蓄積し、蓄積データからユーザーの趣向を探し出し、趣向に合致する商品をリコメンドすれば、売り上げが上がる

・コマツの例
世界中で稼働している建設機器にGPSとセンサーを付け、データを収集、分析することで、機器のメンテナンス、販売に役立てる可能性に気づく。

データ分析によるビジネス変革のサクセスストーリーの典型例は下記。データ分析着手前に4つの壁を越えられるかを検討する。1つでも越えられない場合、データ分析に着手しないほうが良い。

問題⇒データの壁⇒データ⇒分析の壁⇒分析結果⇒経験、カン、度胸の壁⇒意思決定⇒費用対効果の壁⇒ビジネスの価値

・データの壁:分析に必要なデータが揃うか?
・データ分析の壁:データを分析できるようにフォーマットを変更、場合によっては外部に委託する必要あり。
・経験、カン、度胸の壁:期待通りの分析結果が得られたが、現場で使ってもらえるかどうか。
・費用対効果の壁:データ分析結果が意思決定に活用された場合、その効果はデータ分析に必要な費用を十分に上回るか?


②データ分析で問題を解く。(解く力)
・解決すべき課題の定義
何の問題を解決するのか?まずは問題を明確するところから始まる。たいていの場合、『在庫管理の適正化』のようなあいまいな課題があるのみ。現場から意見をヒアリングして、『2週間先の販売累計量の最大プラスマイナス10%未満とすること』のように解決すべき課題を定義する必要がある。

課題を解決すれば、ビジネスの目的が解決するのかを再確認する。

③データ分析によるソリューションを実際のビジネスに使わせる(使わせる力)
データ分析をどのようにビジネス決定に活用するかを説明すること。ビジネス担当者が分析結果を使いやすくなるように支援すること。

ビジネス決定に使えるかどうかは①ビジネス決定の重要度と②分析結果の外れ値の大きさと外れる頻度の組み合わせで判断することが多い。重要度の大きいビジネス決定は(a)~(d)どれも許容されないこともある。

分析結果:
(a)ハズレ値が大きい × ハズレ頻度が大きい⇒そもそもモデルとしてダメ。
(b)ハズレ値が大きい × ハズレ頻度が小さい⇒商品レコメンデーションなら、許容される。繰り返し型のビジネス決定。
(c)ハズレ値が小さい × ハズレ頻度が大きい⇒そもそもモデルとしてダメ。
(d)ハズレ値が小さい × ハズレ頻度が小さい⇒優秀なモデル。

データ分析の結果や過去のデータから予測している(連続性)。連続性は世の中のトレンド(コロナなど)が変わると壊れてしまうため、予測モデルを再構築する必要がある。

ビジネス現場でデータ分析結果を活用してもらうためには、『半信半疑』、『めんどくささ』を解消できるように努める必要がある。


[データ分析でビジネスを変える3ステップを身につけるために]
1.数字にどこまで責任を持てるか?
2.分析結果から何がわかったか?
3.ビジネスの意思決定にどのように使えるのか?
4.ビジネスにどれくらい役に立ったのか?
を自問するようにする。

[良いデータ分析者になるための習慣]
(a)ビジネスの現場に出て、ビジネスの担当者とコミュニケーションをとる
(b)整理整頓
(c)なぜ?なぜ?なぜ?
なぜ分析問題に取り組んでいるのか?
なぜこの分析手法を選んだのか?
(d)データのビジュアル化
(e)他人のデータを疑う。2次データ利用は1次データがあるかを確認する。2次データの利用は慎重に。
(f)simple is better
(g)ザックリ計算
(h)分析で分かったことを文章で表現する。

[データ分析に向いている人]
1.論理的思考能力
2.右脳的思考力:データ分析を活用できる問題を見つけたり、分析結果から仮説を考えたり、分析モデルを構想する
3.感受性:現場の心を開く感受性。
⇒プロフェッショナルはクライアントが気づかない問題を発見し、クライアントをうならせる仮説力を立てる。

[世の中にあるデータ]
データ分析には、社内のデータだけでは足らなく、外部データを使うことがある。気象庁のデータや経済のマクロデータ、道路交通データなど。ツィッターやfacebookを分析することで、マーケットのトレンドや消費者のニーズをとらえることができる。センサー技術を応用すれば、様々なデータを収集することが可能。

一例として
・ウェザーニュース社は家庭に花粉センサーを設置し、各地域の花粉量を取得
・スマートフォンのGPS機能から、営業マンの位置データを収集することが可能。

[データ分析でビジネスを変える3ステップの例]
①データ分析でビジネスを変える機会を見つける。(見つける力)。在庫調整予測の例
・在庫過不足により、利益が3000万円損失していることをつきとめる。
・他の業界でどのように課題解決したかリサーチ⇒電気会社が気象データを用いて、電力使用を高精度で予測事例があった
・自社で販売量予測システムを作ったら、どれくらいの費用になるか試算。⇒500万程度
・年間3000万の損失を考えると、500万円の費用対投資効果はありそう。
・自社で販売量予測システムを開発を検討

②データ分析で問題を解く。(解く力)
(a)解決する問題の明確化
・現場にヒアリングし、仕入れ日、納入日の頻度を把握。
・発注は週に1度。翌週に納入される。発注日から1週間後に納入、次回納入はさらに1週間後なので、2週間の販売量を予測する必要があると判明。
・どれだけの誤差まで許容できるのか現場からヒアリング。売り上げに影響ない誤差は10%と判明。
・在庫切れが発生してるのが7~9月のみと判明。
・解決すべき問題は『7~9月で2週間先までの累計販売量を最大誤差10%未満で予測すること』と定義。

(b)予測に用いるデータ
・現場の経験、カンより、販売量に影響しそうなことをヒアリング。天気、休日、子供たちの長期休暇が影響していると情報あり。
・天気データは気象庁データより入手。販売量は社内データ。長期休暇のデータ、休日・祝日データも入力し、データ準備完了。
・分析前に準備したデータを可視化。特徴をつかむ。ある時期から販売量が急増していることが判明。
・現場に再度ヒアリング。広告を出したことが判明⇒広告データに追加。

(c)データ分析
分析モデルを決める。
・販売量の定義:日々の販売量を予測し、2週間先までの累計販売量を予測。
・販売量に影響するデータ:気温、降水量、休日、平日、長期休暇、広告データ
・過去データ(過去の販売データ、気象データ、カレンダー、広告有無)を学習し、予測モデルができる。
・予測モデルの誤差は最大12%であると判明。⇒目標10%に届かないが、費用対効果として、年間1500万円の利益増が見込めることが判明。

③データ分析によるソリューションを実際のビジネスに使わせる(使わせる力)
開発した予測モデルを仕入れ業務に使うことを現場への説明。
・システム概要と年間1500万円利益増の効果があることを説明。
・経験、カンのほうが勝っていると感じていた現場に対して、自分の予測と予測モデルの1か月販売予測を比較してもらった。
⇒予測モデルのほうが精度が高かった。⇒現場もシステムの効果を実感した。

・現場は予測モデルの導入に加え、気象庁データの入力手間が面倒だと感じていた。入力手間を軽減できるシステムを提案。さらに社内在庫システムと連動させ、自動的に販売予測量から、仕入れ量を計算するシステムの同時に提案。現場は作業が大幅に軽減されることから、システム開発に協力的になった。

・試験運用していると、稀に在庫切れすることがあるとわかった。原因を調べると、快晴であるときに在庫切れしていることが多かった。⇒データに追加し、予測データを再構築すると、誤差が最大8%まで軽減。在庫切れのトラブルはなくなった。

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